東京都 Kさん(45)
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自分と家族との古い体験を徹底的に思い出すということは驚きの連続という感じでした。
何となく自分の中では解決、そして完結させ記憶に収まっていた思い出が、
内観のプロセスを踏むことで全く別の見え方で思い出されるのが不思議でした。
私は、母親には少なからず愛されてきたという実感をぼんやりと抱いていますが、父親に対しては中学生の頃から親しい感情を抱けず、何となく父から距離を取って避けたりして過ごしました。
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しかし集中内観をした後は、父がどういう気持ちで母と結婚し、どういう気持ちで子供を作り、どういう覚悟で生きて、どれだけ家族の為に真面目に働いてくれていたのか、ということが段々と、しかし確実な印象で胸に迫ってきました。眼が節穴だったとはよく言いますが、まさにそんな感じで、父親に対しての私の態度は不適切だった、と非常に身につまされる思いでした。父が私に与えてきてくれたことを、私は故意に見ないようにしていたのかもしれない。集中内観で振り返ると父は本当にたくさんの宝物を僕に残してくれていたのです。僕は内観体験後、確実に父との距離が縮まりました。今では父の話を聞くのも私が父に話すのも以前よりも格段とスムーズにいくようになりました。
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私は大学を出て「ミュージシャンを目指す」という進路のことで両親に反対されてから、両親に対して少なからぬ隔たりを抱くようになっていました。家を飛び出してアルバイトをしながらバンド活動をし、両親とのしがらみを遠ざけ、音楽に明け暮れる日々を送っていたのです。私は自分の両親がどうして我が子のやろうとしていることを素直に応援してくれないのだろう、と半分は怒りの感情に支配されていました。しかし内観で自分が生きてきた過程を振り返ると、私の親に対する態度の方が明らかに子供っぽく思慮に欠けていたということがよく分かったのです。また私の進路を反対していた親がその時どういう気持ちだったのか、ということを改めて考えてみると、息子を突き放さればならなかった両親の苦悩がありありと思い浮かぶのです。そして内観を繰り返していくうちに今まで見えなかった両親の気持ちが見えてきました。「子供の幸せを願ってくれない」と私は両親のことを不快に感じていましたが、それはとんでもないことだった、と思いました。それまで、いかに私は両親に温かくのんびり、幸せに育てられてきたのか。どれだけ愛情を注がれ、それだけ迷惑や心配をかけてきたのか、ということを痛感させられたのです。ちょっとした意見のズレから始まった僕の両親への不信感が、それ以前に両親が私に与えてくれていた色々な親切をすっかり記憶の外に追いやってしまっていた、ということに気づかされました。それまでは当たり前だと思ってやってもらっていたことが、振り返ってみると何故そこまで無償で献身的に世話してくれていたのか、それが非常に尊いことだったように思い出されるのです。
進路のことで両親と揉めてしまった時、私は「反対されている」という重圧にただ感情的になってしまい、半ばヤケクソの気分で家を出ました。ですからその後は時々実家に呼ばれて両親と会っても心をオープンにできず、やはり両親を敵視してしまう姿勢を崩せませんでしたが、逆に両親の立場からしたら、どれだけ辛い気持ちで異を唱えなければならなかったのか、その時の複雑な心境を想像せずにはいられませんでした。母はその時に私に「言う事が聞けないなら一人で生計立ててやってけ」と母もヤケになって涙交じりの声で言いましたが、それは大変苦しいことだったに違いないと思いました。私は、「自分の人生を親に否定された」ということにショックを受け、感情的になり、確かに今思えばその時、正当に両親と話し合おう、という気持ちすら持てていませんでした。私が家を飛び出して一人暮らしを始めてからも、度々母は私の安否を気にして、差し入れをしてくれたり、faxを送ってくれたりしました。私はそういう母の気遣いを半分は有難く感じてはいましたが、半分は素直には喜べなかった。「一人でやってけ」と突き放したくせに必要以上に心配などしてきて、母の方が矛盾しているのではないかと、ひねくれて考えたりしていました。しかし先ほどのように改めて自分の人生と、その中における私の家族のことを思い返してみると、私はあまりにも多くの宝物を両親からいただいていたのだ、ということに気づき、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
私の母は3年前にガンで亡くなりましたが、その時はさすがに相当なショックを受けました。自分は親の反対を押し切って一人頑なに勝手な道を歩んでいたので、「自分は親不孝者なのだ」という劣等意識をいつも卑しく抱いていましたが、きっといつかはまともな親孝行をしてやるぞ、という誠意も心の底では持っているつもりでした。しかし現実は自分の考え方が甘かった。そんな風に、自分の思い通りには人生は進まない、という事実をその時身をもって味あわねばなりませんでした。
母のガンが発覚して動揺した私は
うという気持ちが出て、内観しました。
テープにある人たちみたいに内観は出来なかったかもしれないけど、今までの自分の考えと本当に考え方変わることができました。
今までは、自分の気持ちだけでしたいことを自由にしてきて、上手くいかないことがあったら親とか周りの人にイラついていました。
でも、これからは、周りで支えてくれた人、傷つけてしまった人、信用を失ってしまった人に対して、反省と感謝の態度で接したいです。
少しでも楽になれるようなお返しをして、今まで以上の信用とか取り戻したいです。
特に親と、おばあちゃんとは、今まであまり自分の気持ちを伝えてなかったので、ちゃんと向き合ってコミュニケーションを取りながら、雰囲気のいい、幸せな家族でいたいです。
おばあちゃんにも会いに行ってたくさん話をしたいと思っています。
これからの人生は、周りに迷惑をかけないで、逆に周りまで幸せにすることが出来るような人になりたいです。
1週間、とてもおいしいご飯やお風呂など、ご指導もして下さってありがとうございました。
思ったことが1つ。ここの空気はとてもいいです。
お父さんも言っていました。きっとここにいる方々の気持ちもキレイでオーラもいいからだと思いました。
本当にいい場所で自分を変えることが出来てよかったです。
本当に、ありがとうございました。