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内観三項目について
なぜ迷惑をかけたことを調べるのか?
吉本伊信先生は内観研修所に専念する以前は大きな会社の経営者でした。
その経験を活かして、よく内観三項目を「貸借対照表」に例えて説明しておりました。
商売の世界に「貸借対象表」というものがあります。自分が貸した分、借りた分のバランスを知るためのものです。貸借というものはバランスが取れてないといけません。内観の三項目の内の最初の二つ「してもらったこと」「お返ししたこと」は、二つの事実を調べて、バランスが取れているかを検証することで自己観察を深めることができる項目となっています。
では、なぜ「迷惑をかけたこと」を調べて「迷惑をかけられたこと」を調べないのか?
人間はイヤだった思い出、辛かった記憶というものが引き出しの一番手前にたくさん入っています。内観中に過去の出来事を思い出した際、「こんな酷いことを言われた」「辛いことをされた」「私はこんな不遇な環境で生きてきた」という事は常日頃感じていることなので、割と簡単に思い出しやすいようです。様々な悩みを抱えていらっしゃった方の多くが、昔されて嫌だったことに捉われて長年生きています。怒り・悲しみ・憎しみという感情を抱きながら日常生活を過ごしているので、人生に行き詰まりを感じるのです。
つまり日常生活において、これまでの人生でたくさんの「迷惑かけられたこと(被害者意識)」はたくさん考えているのに、「迷惑をかけたこと」はあまり深く考えていません。これではバランスが取れないので、内観では「迷惑をかけたこと」だけを調べるのです。
「相手を許したい」「嫌な記憶から解放されたい」「もっと楽に人生を楽しみたい」そう思うなら迷惑をかけたことを調べて「迷惑」という貸借のバランスをとる必要があるのです。
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